富山県出身の小曲は、名古屋の大学を卒業後「住み慣れたところが一番いい」と考え、地元の食品メーカーに就職した。元々、営業職を志望していたのだが、内勤営業という形で主に生産管理、在庫管理、原料・資材管理などの業務に当たっていたという。
「広く浅く業務を担当していて、全く外に出られないというのが当初のイメージと違っていましたね。自分の年齢を考えると、この先転職も難しくなるだろうと思っていたところに、タイミング良く縁があり横山商会でお世話になることに決まりました」。
食品業界から電子部品業界への転職に、不安はなかったのだろうか?
「不安は大いにありました。扱うものが全く違うわけですから。私は文系出身で『半導体って何?』というくらいのレベルでしたから、逆に恐いもの知らずだったのかもしれませんね(笑)」。
“知らぬが仏”ということわざもあるが、「覚えることは、たくさんあるよ」と言われながら、小曲が“ゼロからのスタート”に踏み切れたのは、何よりお客様と接する営業職を一生の仕事にしたいという強い思いがあったからだろう。実際、入社してから覚えるべきことの多さを痛感したという小曲。最初のうちは聞いたことのない専門用語ばかりで、お客様にも「すみません、わからないので教えてください」と正直に言うしかなっかったという。そうして、お客様から聞いたことをメモに取り、持ち帰って調べるということを繰り返した。
「一つひとつの専門用語をネットで調べるのですが、その説明文の中にもわからない言葉が出て来るので、それをまた調べてという作業でした。もちろん、先輩方に教えてもらうことも」。
ゼロから、かなりのことを覚えていかなければならなかった当時について、小曲は「正直、大変だった」と振り返る。現在では「多少、知識はつきましたが、まだほとんどないに等しい」という。目覚ましい技術革新が続く業界だけに、絶えず自己研鑽が必要なのだ。
|