ルート営業を始めた頃、販売店からある程度まとまった台数の電動工具の注文を受けた。戸井にとって、それまでに扱ったことがない大きな金額だったという。先方との値段交渉に苦労しながら、上司への相談、報告を密にして何とか商談をまとめることができた。
「1人で担当エリアを回るようになって、すぐにいただいた仕事でした。まだ右も左も分からない中、上司の的確なアドバイスなど周りのサポートのおかげで、無事に納品することができました。この時に一営業マンとしてもっと、うまく立ち回りたいと思いました」
社会人になって2年目の戸井にとって、まだまだ学ぶことは多いという。学生時代のように「このくらいでいいだろう」と、適当な気持ちで臨んでいては失敗を招くことになる。
入社当初、メモを取る習慣のなかった彼は「なんとなく頭で覚えているから大丈夫」などと思っていた。しかし、仕事を進めていくうちに顧客から苦情が入り、事後処理などで周りに迷惑をかけてしまったことがあった。以来、筆記用具を必携し、簡単に覚えられる内容でも必ず書き残すことで、顧客に安心感を与えている。このように、失敗から学ぶことも多い。
もちろん、幅広い商品知識も欠かせない。電動工具の営業マンという理由で突然、電化製品に関する相談を受けることもあるという。自分の専門外でも取引先からの質問に応じることができれば、結果的には信頼獲得につながる。あらゆる場面で商機が広がる可能性があるのも営業の醍醐味だ。
商品を購入してもらうことが仕事だが、顧客とのさまざまな付き合いの中で、彼自身のモノの見方も変わってきた。
「学ぶ姿勢さえ保ち続ければ、どんなことでも自身の成長につなげることができます」
戸井は人と関わることを楽しみながら、自分を高めている。
将来は、先輩のように多くの商品を納めることができる営業マンを目指している。そのためには、顧客との絆をさらに強くすることが一番大切だと考えている。
「戸井から商品を購入してよかった」。いつかこのような声が聞ける日が来ることを信じて、戸井は前進する。
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